top of page
  • 執筆者の写真maizurunaika

頻回の下痢(20年間1日20回程度)、腹部膨満感が続く

45歳 男性   25歳のとき交通事故で腹部外傷。腹膜炎、腹腔内出血を来たし、緊急手術で右側結腸、小腸を約40cm切除された。その後頻回(1日20回前後)の下痢、腹部膨満感、肛門痛がずっと続いていた。各種医療機関を受診して、下痢の治療を試みられたが、一時的に改善がみられるだけでほとんど無効だった。大腸検査では以前施行された手術後の所見だけで、とくに異常はみられなかった。 これまでにつけられた病名は、(1)過敏性腸症候群(下痢型)、(2)アルコール誘発性下痢、であった。 過去に使用した薬剤 (1)各種整腸剤(ビオフェルミンなど乳酸菌製剤各種)、(2)止瀉薬(ロートエキス、次硝酸ビスマス、タンニン酸アルブミン、アドソルビンなど)、(3)麻薬系(アヘンチンキ、リン酸コデインなど)(4)便通異常改善剤(コロネルなど)、(5)腸管蠕動抑制剤(ブスコパン、ロペラミド塩酸塩、イリボーなど) ; 下痢症に有効と考えられる全ての薬を投与されたが、ほとんど効果はみられていなかった。 胆汁性下痢を疑い、胆汁酸結合性イオン交換樹脂を投与した。この薬剤が劇的に奏功し、排便回数は1日2,3回に減少して、非常に快適な日常生活を送れるようになった。 患者さんと手を取り合って喜びました。


胆汁性下痢

さまざまな理由で、小腸での胆汁を吸収する機能が低下すると、頻回の下痢をきたす可能性があり胆汁性下痢が考えられる。例えば、(1)小腸や大腸の切除手術をされたことがある、(2)胆のう摘出術の既往、(3)小腸の機能が劣化している、などが原因としてあげられる。とくに手術をして小腸が短くなると、肝臓から分泌された胆汁が、小腸で吸収されずに大腸まで運ばれる。このとき大腸では大量の水分が分泌される。水様性の下痢となる。ひどい人は、1日20回以上の水溶性下痢便がみられこともある。。 治療としては、胆汁が大腸に届く前に吸収されてしまえばよいので、“胆汁酸結合性イオン交換樹脂”が特効薬となる。ただしこの薬は、下痢症には保険適応がないので注意していただきたい。

閲覧数:1,044回0件のコメント

最新記事

すべて表示

放射線治療後の難治性出血性膀胱炎に対して、漢方薬が著効した症例

【症例】 65歳、男性 【病歴】 早期前立腺癌の治療目的で、放射線(重粒子線)照射療法を施行された。経過は良好であったが、治療2年半後に突然血尿がみられるようになった。総合病院の泌尿器科を紹介した。 【検査と経過】 肉眼的血尿がみられ、原因を精査したが、両腎、尿管、膀胱などに悪性腫瘍や結石などはなかった。前立腺癌の再発もなかった。膀胱鏡検査で、膀胱粘膜の一部だが毛細血管拡張、増生、出血の所見が見ら

中年女性に見られた肝機能障害

58歳 女性 体がとてもだるい、食欲がない、尿が濃いなどを訴えて来院された。 飲酒歴:アルコールは、缶ビール 1,2本/日、30年間。若い頃は多く飲んだことあり。 診察では、肝臓が腫れており、両足の浮腫がみられた。黄疸はない。 血液検査:総タンパク6.9 g/dl、アルブミン 3.0g/dl, AST(GOT)259,ALT(GPT) 32,γGTP(9-32) 1549,ALP(アルカリホスファ

Bình luận


bottom of page